教育評論家の方や、成功した子育て経験者が書いた教育論ではなく、
「教育経済学者」の方が書いた教育についての本です。
教育を経済学で科学する。
教育経済学というのは、
「どういう教育が成功する子どもを育てるのか」という、決して目に見えないものを数字で示します。
経済学者は「子どもの目がキラキラするようになった」とか「学校が活気にあふれている」などといった、人によって見方が変わってしまう主観的な表現で「教育に効果があった」といったりはしません。
つまり、大勢の子どもたちへの実験をもとに、きちんとしたデータを取って
統計的に有意であることが証明されたことを元に教育の効果を科学的に分析しています。
理系の私には、ものすごく腑に落ちる内容でした。
東大に子どもを3人入れたお母さんの体験談なんかは読み物としては面白いけど、
参考になるかといえば、家庭環境も親からの遺伝的なものも人それぞれだし…。
子どもは褒めて育てるべきなのか?
前書きにあるんですが、
「子どもを勉強させるために、ご褒美で釣ってはいけないの?」
「子どもは褒めて育てるべきなの?」
「ゲームは子どもに悪い影響があるの?」
と言った、子を持つ親にありがちな疑問にこの本では
・ご褒美で釣っても「よい」
・ほめ育てはしては「いけない」
・ゲームをしても「暴力的にならない」
という結論を出しています。
もちろんデータに基づいて、数字で出た結果です。
でも、これは表面的な一面で、実はさらに踏み込んだ
・効果的でないご褒美と効果的なものがあり、効果的ななご褒美の与え方は何か。
・ほめ育てでも、効果が出ないほめ方と出るほめ方がある。
・ゲームをやめさせても勉強時間は増えない。効果的なゲームの時間は?
などの内容も、データを元に答えを出しています。
教育はいつから始めるべきか。幼児教育の効果は?
この本では、子どもが小学校に入る前の就学前教育、つまり幼児教育が効果を出していると結論しています。
教育を経済活動と捉え、将来に向けての投資と解釈し、結果子どもの将来の収入がどのくらい高くなるかを教育の収益率としています。その上で、
もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)です。
とのこと。
ただ、幼児教育と言っても、幼児の時から塾に入れたりすることを推奨しているわけではないんです。
この投資は「人的投資」と繰り返し書かれていて、勉強に対するものだけではない。
では、子どもの将来を豊かにするために必要な幼児教育とはなんなのか?
というところまで、色々なデータを元に書かれています。
幼稚園やお教室を選ぶ参考にもなるし、家での教育の心構えにもなる。
なかなか有意義な本でした!
amazon。中古で安いのでてるかな?
「学力」の経済学
Kindled版電子書籍だと、定価で買うより300円ちょっと安くなってます。
「学力」の経済学